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2009年08月25日

消費税簡易課税制度選択届出

消費税の納付税額は、課税売上の消費税額と課税仕入の消費税額の差額です。課税売上の消費税額より課税仕入の消費税額のほうが多ければその差額は還付されます。会社は様々な経費を支払いますが、その全てに消費税がかかっている訳ではありません。例えば、給料や保険料、固定資産税などには消費税はかかりません。従って正しく課税仕入の消費税額を計算しようとすると会計帳簿の記帳はとても煩雑になります。また非課税売上があると、そのための課税仕入は計算から除外されるなど、消費税の計算はとても複雑です。そこで、実際の課税仕入は計算せず、業種ごとのみなし仕入率を用いて計算する簡易課税制度が設けられています。

1.簡易課税にしたい時は、第1期の末日までに選択届出書の提出が必要
2.最低2年は簡易課税になる。
3.簡易課税は還付が受けられない。
4.前々事業年度の課税売上高が5000万円以下

説明
1について
法人が設立第1期または第2期から簡易課税制度を適用するためには、第1期の事業年度末日までに適用開始時期を明記した「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する。
1期目から簡易課税を選択するのは資本金が1000以上の法人で原則課税より簡易課税の方が安くなる場合

2について
簡易課税制度を選択した場合には、課税事業者の選択と同様に2年間の継続適用が強制されます。第1期は、設立から期末まで1年未満であることが多いので、第1期から簡易課税を選択した場合には、第3期まで簡易課税となるのがほとんどです。

3について
簡易課税制度を適用した場合には、実際の課税仕入は無視されてしまうので、設備投資などの予定を踏まえて選択を検討しましょう。

簡易課税のみなし仕入率と税額の負担率
業種簡易課税の業種区分みなし仕入率納付税額の率
卸売業第1種売上の90%売上の0.5%
小売業第2種売上の80%売上の1.0%
製造業第3種売上の70%売上の1.5%
不動産業・サービス業第5種売上の50%売上の2.5%
飲食店・その他の事業第4種売上の60%売上の2.0%
業種判定の詳細
卸売業他者から購入した商品を加工しないで他の事業者に販売する事業
小売業他者から購入した商品を加工しないで消費者に販売する事業
製造業製造品の販売を行う事業。自社の工場で製造しているか、下請けに製造させているかは関係ない。
サービス業サービスの提供を行う事業のうち飲食店以外はサービス業

簡易課税のみなし仕入率を判定する業種区分は、定款に記載した事業や、税務署への届出書に記載した業種によるものではありません。あくまでも、実際に行った事業の内容によるため、いずれの業種に該当する売上であるのか記録しておかなければなりません。記録の方法は、請求書や売上伝票、帳簿等に事業の種類を記録する方法のほか、営業担当者や店舗ごとに一つの種類の事業のみを行っている場合にはそれぞれの売上として把握しておく方法などが考えられます。「簡易」と言っていますが実際の記帳はそれなりに複雑です。

4について
基準期間の課税売上高が5000万円以下であり、かつ「簡易課税制度選択届出書」が提出してある場合には必ず簡易課税制度を適用しなければなりません。つまり、原則計算との有利選択は認められないということです。これが「選択」した意味です。「簡易課税制度選択届出書」が提出されていたとしても基準期間の課税売上高が5000万円を超えていた課税期間については原則計算により仕入税額を計算することになります。安易に簡易課税を採用するのではなく、必ず原則課税の場合との仕入税額をシミュレーションした上で簡易課税を採用するかどうかの判断をして下さい。

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2009年08月24日

有姿除却

使わなくなった固定資産を処分するときの、会計上の処理を「除却」といいます。固定資産として計上されていたものを費用に振り替えるものです。除却のためには、原則として廃棄処理を行うことが必要ですが、例外として、現状のままで帳簿上の除却を行う方法があります。実際の除却には取壊し費用などがかかるが、取り壊さないで(費用をかけないで)現状のままで帳簿上の除却だけを行う方法です。これを「有姿除却」といいます。

次の要件を満たすものについては有姿除却が可能です。

次に掲げるような固定資産については、たとえ当該資産に解撤、破砕、廃棄等をしていない場合であっても、当該資産の帳簿価格からその処分見込価額を控除した金額を除却損として損金の額に算入することができるものとする。
1. その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産
2. 特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、その製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のはとんどないことがその後の状況等からみて明らかなもの
(法人税基本通達7-7-2)

仕訳例
機械装置として計上されていた加工機械(簿価100万円)を有姿除却した場合。ただし処分見込価額は5万円。

固定資産除却損 95万円 / 機械装置 100万円
貯蔵品     5万円

(*)貯蔵品:処分見込価額があるものについてはその見込額を貯蔵品に振り替えます。

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2009年08月20日

交際費から除外される5千円以下の飲食費

打ち合わせなどの食事について、それが社会の批判を招かない程度の枠内であれば交際費否認(交際費の損金不算入)制度から外すというものです。(平成18年改正)

交際費の範囲から「一人あたり5千円以下の飲食費(社内飲食費を除く・・・社内飲食費とは当該法人の役員、従業員もしくはこれらの親族に対する接待等に支出する飲食費いう)が一定の要件で除外されました。

一定の要件・・・次に掲げる事項を記載した書類を保存
1. その飲食のあった年月日
2. その飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名、名称および関係
3. その飲食等に参加した人数
4. その費用の額、飲食店の名称および所在地
5. その他参考となるべき事項

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2009年08月19日

稼動休止資産

経済状況の悪化で生産調整などにより機械装置が休止状態になっている場合の減価償却はどのようにしたらよいのでしょうか。

税務上は、事業のために使っていないものは原則として減価償却は認められません。ただし、休止期間中必要な維持補修が行われ、いつでも稼動しうる状態にあるものは減価償却資産として取り扱い、計上した減価償却費を損金として扱って良いことになっています。

「稼動を休止している資産であっても、その休止期間中必要な維持補修が行われており、いつでも稼動しうる状態にあるものについては、減価償却資産に該当するものとする。」(法人税基本通達7-1-3)

逆にいうと、必要な維持補修がされておらず、いつでも稼動しうる状態になっていないものは、会計上で減価償却費を計上しても、税務上、その金額は損金算入できません。

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2009年08月18日

課税事業者選択届出

消費税は難解でややこしい点があります。

資本金1000万円未満の法人の設立第1期・第2期は免税事業者です(期首日の資本金額が1000万円未満なら免税)。

設立第1期、第2期あるいはその後の期に大きな設備投資をする場合(つまり売上などで預かった消費税よりも仕入れ・経費・設備投資などで預けた消費税が多い場合)、消費税の還付を受けたほうが得です。ただし、免税事業者のままでは絶対に還付は受けられません。課税事業者を選択する必要があります。

課税事業者・免税事業者 全ての事業者が消費税の納税を行うのが原則ですが、次の1・2の事業年度は消費税の納税義務が免除されます。

1.資本金1000万円未満の法人の設立第1期と第2期
2.設立3期目以降で、基準期間(前々事業年度)における課税売上高が1000万円以下の事業年度

納税義務が免除された事業者を「免税事業者」といい、納税義務が免除されない事業者を「課税事業者」といいます。

区 分 課税事業者 免税事業者
第1期・第2期 資本金1000万円以上 資本金1000万円未満
第3期以降 前々事業年度の課税売上高が1000万円超 前々事業年度の課税売上高が1000万円以下

第1期に増資した時
設立第1期及び第2期の判定はその事業年度開始の日の資本金の額によります。例えば、資本金300万円で設立した会社が、第1期において700万円の増資を行った場合には、第1期は設立時の資本金300万円であるため免税事業者、第2期は増資によりその開始の日の資本金が1000万円となっているため課税事業者となります。また逆に、資本金1000万円で設立した会社が、第1期において500万円の減資を行った場合には、第1期は設立時の資本金1000万円であるため課税事業者、第2期は減資によりその開始の日の資本金が500万円となるため免税事業者となります。

免税事業者のままでは還付は受けられない
免税事業者である課税期間については、消費税の申告書を提出することができません。たとえ、設備投資などの巨額な課税仕入を行い、還付金が計算される場合であっても免税事業者である限りは、申告書を提出して還付を受けることはできません。
課税事業者の選択は
免税事業者が還付を受けるためには、あらかじめ自ら率先して課税事業者になっておく必要があります。資本金1000万円未満の法人が設立第1期または第2期から課税事業者になるためには、第1期の期末日までに、適用開始時期を明記した「消費税課税事業者選択届出書」を提出しなければなりません。

選択は2年しばり
この特例の適用を止めようとする場合には、選択不適用届出書を提出します。選択不適用届出書は、課税事業者となった課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以降でなければ提出できません。つまり、還付のある課税期間にだけ課税事業者となることは許されず、還付か納付かに関わらず、課税事業者を選択する場合は、最低でも2年間連続して申告しなければならないということです。課税事業者を選択した課税期間に還付を受けても、その翌課税期間には納付が発生することが多く、2年間のトータルで有利不利を検討する必要があります。なお、廃業の場合は届出時期に制限はありませんのでいつでも提出できます。

第1期から選択した場合は3年しばり
第1期は設立から期末までの期間が1年未満であることが多く。第1期から課税事業者を選択した場合には、第2期まで不適用届出書の提出が制限され、ほとんどの場合、第3期まで課税事業者となります。2年を経過する日というのが第3期の途中になり、結果的に第3期まで拘束されるということになります。(個人経営の場合は年の中途で開業した場合であっても、課税事業者となった課税期間の初日はその年の1月1日ですから3年しばりではなく2年しばりとなります)

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2009年08月14日

貸倒損失

法人が有する金銭債権(売掛金、貸付金その他)について貸し倒れが発生した場合には、その貸倒損失は損金の額に算入されることになっていますが、貸倒処理が認められるのは条件が厳しく、次の3つの場合です。概略について説明しますが、表現が曖昧なため、事実関係の解釈が難しく、税務当局とトラブルになるのは2と3の場合だと思います。不明な点は遠慮なくご相談ください。

1. 法律等による貸倒れ
会社更生法による更生計画の認可決定など、又は関係者の協議決定により金銭債権が切り捨てとなる場合。債券を保有していた法人が貸倒損失として損金経理している、・いないに関らず、これらの事実の発生した日の属する事業年度の損金となります。
2. 事実上の貸倒れ
金銭債権が法律的には消滅していないものの、その金銭債権の全額が回収できないことが事実上明らかである場合には、法人がこの全額をその明らかとなった事業年度において貸倒損失として損金経理した時には、損金の額に算入します。
3. 形式上の貸倒れ
売掛債権(売掛金、受取手形など)については、特例として、今まで継続的に取引をしていた債務者との取引が停止後1年以上経過した場合や、売掛債権が取立費用に満たない場合などに、法人がその売掛債権の額から備忘価額(1円以上)を控除した残額を、これらの事実のあった日以後の事業年度において貸倒損失として損金経理した時は、損金の額に算入できます。

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2009年08月12日

役員給与の期中減額

役員給与の場合、定期同額の場合は損金算入ができるとされています。経営状況が著しく悪化したこと、その他これに類する理由(業績悪化改定事由)によりされた定期給与の改定は定期同額にあたるとする一方、法人の一時的な資金繰りの都合や、単に業績目標値に達しなかったことなどは含まれないとしていました。

今回、国税庁から業績悪化改定事由が発表されました。「財務諸表の数値が相当程度悪化したことや倒産の危機に瀕したことだけでなく、経営状況の悪化に伴い、第三者である利害関係者(株主、債権者、取引先等)との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情が生じていればこれも含まれる」というものです。

上記の新しい指針からすると、例えば、次のような場合の減額改定は、業績悪化改定事由に該当すると考えられます。
1. 株主との関係上、業績や財務状況の悪化についての役員としての経営上の責任から役員給与の額を減額せざるを得ない場合
2. 取引銀行との間で行われる借入金返済のリスケジュールの協議において、役員給与の額を減額せざるを得ない場合
3. 業績や財務状況または資金繰りが悪化したため、取引先等の利害関係者からの信用維持・確保する必要性から、経営状況の改善を図るための計画が策定され、これに役員給与の額の減額が盛り込まれた場合

中小企業の場合、3を前提としての対応が考えられます。

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2009年08月10日

減価償却制度の改正

平成19年度の税制改正により、減価償却制度が抜本的に改正されました。

今までの減価償却制度では、最大で資産の金額の95%までしか減価償却することが出来なかったのですが、この新制度では1円を残して減価償却を行うことができるようになりました。概要は次のとおりです。

1. 平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産については、償却可能限度額(資産の5%)および残存価額(資産の10%)が廃止され、残存簿価1円まで償却できることになりました。
2. 定率法の償却率は定額法の償却率の250%に改正され、従前に比べ早い時期で償却を行うことが可能になりました。
3. 既存の資産で既に償却可能限度額(取得価額の95%)まで償却が終わった資産についても償却可能限度額に達した事業年度の翌事業年度から、残存簿価1円まで5年間で均等償却できるようになりました。

この改正には、一つの資産について計上する減価償却費の合計額が増加する効果と、減価償却費がより早い時期に計上される効果があります。従って、黒字の法人にとっては、法人税が減税となるメリットがあります。

2009年08月10日 | この記事へのリンク | この記事へのコメント (0) | トラックバック (0)




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