2010年08月03日
税法上の領収証の意義
1. 宛名が「上様」の領収書
領収書は税法に基づいて発行するものではありません。上様という表記を行うことは違法ではありません。ただ、税務調査では上様だと胡散臭いと推察され、そのほかの取引についても疑いの目で見られかねません。できればキチンと会社名を書いてもらった方が望ましいのです。そして「いつ、誰が、誰に、何を買ったか、いくらだった」と明確にされていれば体制は整っています。
2. 領収書がない場合の取扱
法人税 |
「法人が交際費、機密費、接待費等の名義をもって支出した金銭でその使途が明らかでないものは損金の額に算入しない」とされています(法人基本通達9-7-20)
通常、使途不明金と言われます。ところで一概に使途不明金といっても、その形態は様々と思います。例えば支出当初は証憑書類があり、それに基づき記帳された支出であっても、その後保存をおろそかにしたため、事後の調査時においてその支出の信憑性を立証できない場合や、領収書等の証憑書類は保存されているが、それに記載された取引の相手先が調査日の時点で実在しないことにより、その領収書そのものの信憑性が立証できない場合、または売上を除外していたことが判明し、領収書等の保存を行わなかったことからその除外した売上から支出した原価の額や経費の額について立証できない場合があるでしょう。
これらの支出が使途不明金として損金不算入となるかどうかは、個々の事情により異なります。つまり、仕入れた商品の請求書や領収書を紛失した場合には、関連する事項、例えば仕入商品が現実に売上とされている(または在庫として計上されている)などの事項を立証することにより請求書や領収書を紛失した支出について合理的に推察できるものである時は使途不明金とはならないものと思われますが個別事情により異なりますので一概には判断できません。 |
消費税 |
仕入税額控除の適用をうけるためには、課税仕入れ等の事実を記載した帳簿及び請求書等の双方を保存することとし、双方の保存がない場合には仕入税額控除が認められないこととされています。(消費税法30条7項)
上記の使途不明金とされる金額は帳簿に課税仕入れ等の要件となる事項の記載がなく、またそれに係る請求書等の保存がないことから当然に仕入税額控除の対象とはならないでしょう。なお、ジュースの自動販売機のように領収証を発行することができない場合には、領収証がなくてもよいこととされています。 |
2010年08月03日
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