2010年09月02日固定資産の税額調整固定資産の取得価額については、耐用年数に応じ、減価償却費として複数年にわたり費用配分します。消費税の面では、固定資産を購入した時に支払った消費税は、課税売上割合が95%以上の場合、取得した事業年度においてその全額が税額控除の対象とされます。しかし、固定資産のように長期間使用させるものについては、購入時の状況やその用途により税額控除を完結させるのはいささか問題があります。そこで、課税売上割合が著しく変動した場合や、用途を変更した場合にはその固定資産の当初の控除税額についてあとから調整を加えることとされています。 対象となる資産は建物、構築物、機械装置、車輌等で税抜きの取得価額が100万円以上の固定資産で、これらの資産を「調整対象固定資産」といいます。 1. 課税売上割合が著しく変動した場合の調整 このような調整計算は、調整対象固定資産の控除税額を一括比例配分方式、あるいは個別対応方式で共通対応仕入に区分して計算した場合に限り行うものですので、95%以上による全額控除、あるいは個別対応方式で課税売上にのみ対応する仕入に区分して計算したような場合には適用されません。課税売上割合が税額計算に関係していないため、課税売上割合が変動したとしても調整する必要がないわけです。 また、固定資産を長期にわたり保有するために税額調整が必要になるわけで、売却などにより第3年度の課税期間(通常は購入の翌々期)の末日に保有していない場合には調整計算は必要ないことになります。 ただし、課税売上割合が著しく減少した場合には当初の課税売上割合が95%以上であることにより全額を控除した場合であっても、変動率、変動差などの要件を満たせば税額調整は必要となりますので注意してください。課税売上割合が著しく減少した場合には上記の説明とは逆に、第3年度の課税期間において仕入控除税額がカットされることになります。 2. 転用した場合の調整 ところがこの固定資産をその後に非課税業務(非課税売上を生むための業務)用に転用したらどうでしょうか。当初から非課税業務用としていれば、全く税額控除はできなかったわけですから、購入時の用途だけで税額控除を完結させるには問題があるわけです。 そこで、調整対象固定資産を取得の日から3年以内に転用した場合には、次のような調整計算をすることとしています。
注)調整対象税額とはその調整対象固定資産に課された消費税額をいいます。 取得日から転用日までの期間の経過に応じ、課税業務用のものを非課税業務用に転用した場合には、転用日の属する課税期間の調整前の仕入税額から減算し、非課税業務用のものを課税業務用に転用した場合には逆に加算します。 このような調整計算は、個別対応方式により仕入税額を計算した場合に限り行うものですが、たとえ、個別対応方式を適用した場合であっても、共通対応用に区分したものを転用した場合や、共通対応用に転用した場合には適用されません。個別対応方式により、課税業務用として仕入税額を計算したものを非課税業務用に転用した場合と、非課税業務用として仕入税額を計算したものを課税業務用に転用した場合に限り適用されることに注意してください。 2010年09月02日 トラックバックこのエントリーのトラックバックURL: コメントこのページへのご意見、ご感想、ご要望などコメントをお願い致します。 |